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ねことヘアピン

唯梓SS中心に自由気ままに綴るブログです。

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【にゃににゅにぇあずにゃん】

【にゃににゅにぇあずにゃん】



日曜日、憂の昼ご飯を食べ終えた私は、いつものようにベッドでゴロゴロと過ごしていた。
すると突然、私の携帯が鳴った。
着信画面を見ると「あずにゃん」と表示されている。
この「あずにゃん」というのは、軽音部で一年後輩の中野梓ちゃんの事だ。
私は寝転がりながら電話に出た。



「もしも~しあずにゃん~?」



「先輩!大変にゃんです!早く来て下さい!」




「えっ?来てってどこに~?」




「私の家です!とにかく急いで来て下さいね!では!」




ブチッと一方的に切られてしまった。梓ちゃんは何か急いでいるみたい。
(どうしたんだろう?)と思いながら私はパジャマを脱ぎ支度をし始めた。










私は自分なりに頑張り急いで支度をしたが、結局梓ちゃんの家に着いたのは1時間後になってしまった。




「遅いです先輩!」




「いや~なかなか寝ぐせが戻らなくって~。ほら、ここ!ここ!」




そう言いながら私はまだ少し跳ねている毛先を梓ちゃんに見せる。
ドライヤーとブラシを持って小時間格闘したが、結局直せなかったのだ。




「そんなのはどうでもいいんです!…とりあえず私の部屋に行きましょう」





*





梓ちゃんの部屋はすごくシンプルで、よく片付いている。
でもベッドのシーツは、起きた状態のままなのか乱れていた。




(やっぱり何か慌ててたのかな?)




私は部屋をクルッと見回した後、梓ちゃんを見た。
梓ちゃんは、部屋の中なのにニット帽子を被っている。
編み込みのニット帽で、てっぺんにポンポンが付いていて可愛らしい。



「その帽子可愛いね!似合ってるよ~」



さっきから梓ちゃんは何かそわそわしている。
私はそんな彼女に素直に思った感想を述べた。




「あ…ありがとうございます…ってそうじゃにゃいんです!これ見て下さい!」





そう言い梓ちゃんがニット帽子を取ると、そこにはひょこっと猫耳がついていた。
全体的に黒くて、耳の穴から白くフサフサとした毛が生えている。





(ん~?さわちゃんの猫耳だ。でもどうしてあずにゃんの家に…?これを見せたくて私のこと呼んだのかなぁ)




髪の毛が黒い梓ちゃんが付けていると、黒い猫耳と同化して見えて、まるで生えているように見える。





「なになにさわちゃんの猫耳がどうかしたの~?てかやっぱりあずにゃん似合いすぎだよぉ~♪」





「違うんです!これ…私の頭から生えているんです…」





「…ほえ??なにそれ??」





私は梓ちゃんの言っている事がイマイチ理解できなかった。
だって普通信じられないよ?そんな事。





「分かりません!朝起きたらこうにゃってたんです…」





そう話す梓ちゃんの顔は、とても不安な顔をしている。
きっと家族にも話すことが出来なくて、それで私の事を呼んだのだろう。





(あ。あずにゃんの猫耳が垂れてる。本当にこれ生えてるんだ…。)





「ん~…でもあずにゃん似合っててすごく可愛いよ?そのままでもいいんじゃないかな?」





とりあえず私はあずにゃんに笑顔を取り戻してもらうため、元気付けようと試みる。






「よくありません!こうにゃったのも、きっと唯先輩が毎日毎日私のこと「あずにゃんあずにゃん」言ってたせいです!責任とって下さい!」






梓ちゃんは早口でそうたくしまくり、人差し指でビシッと私を指した。
指されている指を見て、私はうろたえながら答える。





「へ?責任ってどうとれば…」





「そんにゃの知りません!自分で考えて下さい!」





そう言うと梓ちゃんはプイッと顔を逸らしてしまった。
私は腕を組みながら一生懸命考える。




「う~ん………あ、とりあえずラーメンて言ってみて?」





「……?にゃーめん?」




「焼きそば」




「にゃきそば」




「チャーハン」




「にゃーはん」




「なにぬねの♪」




「にゃににゅにぇにょ…って何言わせるんですか!ふざけてるんですか!!」





梓ちゃんは怒ったらしく、手足をジタバタさせて暴れ始めた。
蹴りが当たりそうになった私は、思わず一歩梓ちゃんから離れる。





(あわわわ、あずにゃんが怒った!と、とりあえず鎮めなきゃ!)





私は暴れている梓ちゃんの後ろに回り、背中からギュッと抱きしめて頭をよしよしと撫でた。
間近で見るとこの猫耳、本当に梓ちゃんの頭から生えている。毛並みがフサフサとしていて、撫でていてとても気持ちが良い。
何分か撫でていると、段々と梓ちゃんの心は収まってきたのか、私の胸の中でおとなしくなった。
梓ちゃんの猫耳は、私が撫でるたびにピクッピクッと震えている。




「あずにゃん気持ちいいの~?」





「にゃ!?気持ちよくなんか…」




「そっか~」




そう言うと私は、梓ちゃんの頭を撫でる手を止めた。
でも抱きしめている体は離してあげない。




「えっ…」




梓ちゃんはこっちを振り向き、「なんで?」と言う顔をしている。





「ん?どしたの?」





「あ、あの…」





梓ちゃんの猫耳はさっきからヒクヒクと動いている。まるで「触って」とでも言うように。
私は笑いそうになるのをグッと我慢して、知らない振りを続けた。




「うん?」




「も、もうちょっとだけ、撫でても…いいです」





「…ふふふ~可愛い~!!あずにゃ~んなでなで~♪」





溜めてた分、私は一気に頭をなでなでする。





「ふにゃぁ~…」





梓ちゃんは気持ちよさそうな顔で、猫みたいな声を出した。





(今あずにゃんは猫なのかな?いや、やっぱり人間?…猫人間?…にゃににゅにぇ戦隊あずニャン!今日も地球の平和のためにギターで音楽を届けるにゃん!)





梓ちゃんの頭を撫でながら、私はとんちんかんな事を考えていると、突然、お尻を何かにナデナデと撫でられた。





「ひゃあ!?な、なに!?」





私は驚いて自分の背中を見ると、そこには黒くて長い、うねうねとした物体が私のお尻を撫でている。
それが梓ちゃんから生えている尻尾と気付いた時には、私は床に押し倒されていた。




「先に火付けたのは先輩にゃんですからね。キチンと最後まで責任取ってもらいます」





「ほ、ほえーーー!?」






私がこの後、どうやって梓ちゃんに責任を取ったかは…想像にお任せします…。












fin♪ (回想編へ続きます)

| 【にゃににゅにぇあずにゃん】 | 21:34 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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