≪ PREV | PAGE-SELECT | NEXT ≫
≫ EDIT
--.--.-- --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
| スポンサー広告
| --:--
| comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑
≫ EDIT
2010.06.16 Wed
【にゃににゅにぇあずにゃん】
日曜日、憂の昼ご飯を食べ終えた私は、いつものようにベッドでゴロゴロと過ごしていた。
すると突然、私の携帯が鳴った。
着信画面を見ると「あずにゃん」と表示されている。
この「あずにゃん」というのは、軽音部で一年後輩の中野梓ちゃんの事だ。
私は寝転がりながら電話に出た。
「もしも~しあずにゃん~?」
「先輩!大変にゃんです!早く来て下さい!」
「えっ?来てってどこに~?」
「私の家です!とにかく急いで来て下さいね!では!」
ブチッと一方的に切られてしまった。梓ちゃんは何か急いでいるみたい。
(どうしたんだろう?)と思いながら私はパジャマを脱ぎ支度をし始めた。
☆
私は自分なりに頑張り急いで支度をしたが、結局梓ちゃんの家に着いたのは1時間後になってしまった。
「遅いです先輩!」
「いや~なかなか寝ぐせが戻らなくって~。ほら、ここ!ここ!」
そう言いながら私はまだ少し跳ねている毛先を梓ちゃんに見せる。
ドライヤーとブラシを持って小時間格闘したが、結局直せなかったのだ。
「そんなのはどうでもいいんです!…とりあえず私の部屋に行きましょう」
*
梓ちゃんの部屋はすごくシンプルで、よく片付いている。
でもベッドのシーツは、起きた状態のままなのか乱れていた。
(やっぱり何か慌ててたのかな?)
私は部屋をクルッと見回した後、梓ちゃんを見た。
梓ちゃんは、部屋の中なのにニット帽子を被っている。
編み込みのニット帽で、てっぺんにポンポンが付いていて可愛らしい。
「その帽子可愛いね!似合ってるよ~」
さっきから梓ちゃんは何かそわそわしている。
私はそんな彼女に素直に思った感想を述べた。
「あ…ありがとうございます…ってそうじゃにゃいんです!これ見て下さい!」
そう言い梓ちゃんがニット帽子を取ると、そこにはひょこっと猫耳がついていた。
全体的に黒くて、耳の穴から白くフサフサとした毛が生えている。
(ん~?さわちゃんの猫耳だ。でもどうしてあずにゃんの家に…?これを見せたくて私のこと呼んだのかなぁ)
髪の毛が黒い梓ちゃんが付けていると、黒い猫耳と同化して見えて、まるで生えているように見える。
「なになにさわちゃんの猫耳がどうかしたの~?てかやっぱりあずにゃん似合いすぎだよぉ~♪」
「違うんです!これ…私の頭から生えているんです…」
「…ほえ??なにそれ??」
私は梓ちゃんの言っている事がイマイチ理解できなかった。
だって普通信じられないよ?そんな事。
「分かりません!朝起きたらこうにゃってたんです…」
そう話す梓ちゃんの顔は、とても不安な顔をしている。
きっと家族にも話すことが出来なくて、それで私の事を呼んだのだろう。
(あ。あずにゃんの猫耳が垂れてる。本当にこれ生えてるんだ…。)
「ん~…でもあずにゃん似合っててすごく可愛いよ?そのままでもいいんじゃないかな?」
とりあえず私はあずにゃんに笑顔を取り戻してもらうため、元気付けようと試みる。
「よくありません!こうにゃったのも、きっと唯先輩が毎日毎日私のこと「あずにゃんあずにゃん」言ってたせいです!責任とって下さい!」
梓ちゃんは早口でそうたくしまくり、人差し指でビシッと私を指した。
指されている指を見て、私はうろたえながら答える。
「へ?責任ってどうとれば…」
「そんにゃの知りません!自分で考えて下さい!」
そう言うと梓ちゃんはプイッと顔を逸らしてしまった。
私は腕を組みながら一生懸命考える。
「う~ん………あ、とりあえずラーメンて言ってみて?」
「……?にゃーめん?」
「焼きそば」
「にゃきそば」
「チャーハン」
「にゃーはん」
「なにぬねの♪」
「にゃににゅにぇにょ…って何言わせるんですか!ふざけてるんですか!!」
梓ちゃんは怒ったらしく、手足をジタバタさせて暴れ始めた。
蹴りが当たりそうになった私は、思わず一歩梓ちゃんから離れる。
(あわわわ、あずにゃんが怒った!と、とりあえず鎮めなきゃ!)
私は暴れている梓ちゃんの後ろに回り、背中からギュッと抱きしめて頭をよしよしと撫でた。
間近で見るとこの猫耳、本当に梓ちゃんの頭から生えている。毛並みがフサフサとしていて、撫でていてとても気持ちが良い。
何分か撫でていると、段々と梓ちゃんの心は収まってきたのか、私の胸の中でおとなしくなった。
梓ちゃんの猫耳は、私が撫でるたびにピクッピクッと震えている。
「あずにゃん気持ちいいの~?」
「にゃ!?気持ちよくなんか…」
「そっか~」
そう言うと私は、梓ちゃんの頭を撫でる手を止めた。
でも抱きしめている体は離してあげない。
「えっ…」
梓ちゃんはこっちを振り向き、「なんで?」と言う顔をしている。
「ん?どしたの?」
「あ、あの…」
梓ちゃんの猫耳はさっきからヒクヒクと動いている。まるで「触って」とでも言うように。
私は笑いそうになるのをグッと我慢して、知らない振りを続けた。
「うん?」
「も、もうちょっとだけ、撫でても…いいです」
「…ふふふ~可愛い~!!あずにゃ~んなでなで~♪」
溜めてた分、私は一気に頭をなでなでする。
「ふにゃぁ~…」
梓ちゃんは気持ちよさそうな顔で、猫みたいな声を出した。
(今あずにゃんは猫なのかな?いや、やっぱり人間?…猫人間?…にゃににゅにぇ戦隊あずニャン!今日も地球の平和のためにギターで音楽を届けるにゃん!)
梓ちゃんの頭を撫でながら、私はとんちんかんな事を考えていると、突然、お尻を何かにナデナデと撫でられた。
「ひゃあ!?な、なに!?」
私は驚いて自分の背中を見ると、そこには黒くて長い、うねうねとした物体が私のお尻を撫でている。
それが梓ちゃんから生えている尻尾と気付いた時には、私は床に押し倒されていた。
「先に火付けたのは先輩にゃんですからね。キチンと最後まで責任取ってもらいます」
「ほ、ほえーーー!?」
私がこの後、どうやって梓ちゃんに責任を取ったかは…想像にお任せします…。
fin♪ (回想編へ続きます)
| 【にゃににゅにぇあずにゃん】
| 21:34
| comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑
TRACKBACK URL
http://jascojasco.blog.2nt.com/tb.php/31-33bdfbcf
TRACKBACK
≪ PREV | PAGE-SELECT | NEXT ≫