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ねことヘアピン

唯梓SS中心に自由気ままに綴るブログです。

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【手を繋ごう】

【手を繋ごう】






帰り道。私は帰る方向が同じ梓ちゃんと一緒に帰っていた。



「あのね~昨日の見たTVで…」



「あぁ、確かそれ○○の特集に載っていたような…」




歩きながら、私達は他愛無い話をする。
大半は私から話題を振るんだけどね。
でも梓ちゃんは私の喋る事に対してちゃんと反応をしてくれる。



「…」



「…」



会話が途切れてしまった。私は何か話題を探していると、ふと彼女の手が目に入る。




(ちっちゃくて可愛い手…繋ぎたいな)




そう思った私は次にはもう声に出していた。




「ねぇあずにゃん」




私は立ち止まり、前を歩く彼女を呼ぶ。




「…?なんですか?」



梓ちゃんは私が立ち止まったことに今気がついたみたいで、頭だけくるっと振り返った。



「んっ」



私は梓ちゃんに右手を差し出す。
でも彼女はそんな私を見てもよく分からないみたいだった。



「???何なんですか?」



もう一度私は右手を「んっ」と差し出し、今度は分かるように言葉で伝える。




「手、繋ご?」




「えっ…?」




頭だけ振り返っていた梓ちゃんは、やっと体ごとこちらに振り向いた。




「手、繋ぎたいな。…駄目?」




私は首を傾げて少し上目遣いで梓ちゃんを見る。
彼女はそんな私を見て「うっ…」と声を出し私から一歩下がった。




(やっぱ駄目かな…)




私は彼女の反応に表情が自然と暗くなる。
すると前の方から「はぁ…」というため息が聞こえた。



「もう、なんて顔してるんですか」



呆れた顔をしている梓ちゃんは私に近づくと、隣にすくっと立った。



「あずにゃん…?」



「ほら、繋ぐんでしょう?早くして下さい」



そう言うと梓ちゃんは、顔を逆の方に背け「んっ」と小さい手を私に差し出してきた。
そんな彼女の行動に私の顔はぱあ~っと笑顔になり、いそいそと自分の手を梓ちゃんの手の方へ持って行く。

私はお互いの5本の指がぴったりと合わさるように、そっと手を合わせた。手の大きさ比べをする時のような触れ方だ。
実際合わせてみて、やっぱり彼女の手はちっちゃいと実感する。指の第一関節分ぐらい大きさの違いがあるのだから。

私の手が触れると、梓ちゃんの手はピクッと動き、反り返ったまま固まってしまった。
彼女の手は、「これ以上大きくならないぞ!」ってくらいクワッと広がっている。
私はそんな彼女の固まった指と指の間に手を絡める。優しく、包むように。
すると力が抜けたらしく、梓ちゃんはゆっくりと私の手の甲に指を降ろしてきた。



(あずにゃんの手…やわこい…)



絡まってくる彼女の手の柔らかさに、私の顔はムズムズする。



「…な、何ニヤついてるんですか…」



そんな私の顔を梓ちゃんは横目でチラチラ見ながら睨んできた。



(ありゃ、バレてる。私って顔に出やすいのかな~)



「え?私そんな顔してた~?」




「自覚ないんですか…」




「う~ん。だってあずにゃんと手繋ぐの好きなんだもん」



「!」



急に近くで「ボンッ!」と爆発する様な音がした。
「何事!?」と思い私は辺りを見渡す。




「ほ、ほ、ほら、は、はやく帰りますよ!」




キョロキョロしていると、彼女は繋いでいる手で私の事をグイッと引っ張り歩き出した。
「はやく帰る」という彼女の言葉に「私は長く繋いでいたいのにな~」と思いながら引っ張られていたら、彼女も同じ気持ちだったみたいで、歩くスピードがとても遅い。



「………うん、そうだね~」



私は返事をして彼女の隣に並び、繋いでいる手にギュッと力を入れる。


私達はいつもより長い下校を過ごした。








fin♪

| 【手を繋ごう】 | 21:43 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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