≪ PREV | PAGE-SELECT | NEXT ≫
≫ EDIT
--.--.-- --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
| スポンサー広告
| --:--
| comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑
≫ EDIT
2010.06.16 Wed
【手を繋ごう】
帰り道。私は帰る方向が同じ梓ちゃんと一緒に帰っていた。
「あのね~昨日の見たTVで…」
「あぁ、確かそれ○○の特集に載っていたような…」
歩きながら、私達は他愛無い話をする。
大半は私から話題を振るんだけどね。
でも梓ちゃんは私の喋る事に対してちゃんと反応をしてくれる。
「…」
「…」
会話が途切れてしまった。私は何か話題を探していると、ふと彼女の手が目に入る。
(ちっちゃくて可愛い手…繋ぎたいな)
そう思った私は次にはもう声に出していた。
「ねぇあずにゃん」
私は立ち止まり、前を歩く彼女を呼ぶ。
「…?なんですか?」
梓ちゃんは私が立ち止まったことに今気がついたみたいで、頭だけくるっと振り返った。
「んっ」
私は梓ちゃんに右手を差し出す。
でも彼女はそんな私を見てもよく分からないみたいだった。
「???何なんですか?」
もう一度私は右手を「んっ」と差し出し、今度は分かるように言葉で伝える。
「手、繋ご?」
「えっ…?」
頭だけ振り返っていた梓ちゃんは、やっと体ごとこちらに振り向いた。
「手、繋ぎたいな。…駄目?」
私は首を傾げて少し上目遣いで梓ちゃんを見る。
彼女はそんな私を見て「うっ…」と声を出し私から一歩下がった。
(やっぱ駄目かな…)
私は彼女の反応に表情が自然と暗くなる。
すると前の方から「はぁ…」というため息が聞こえた。
「もう、なんて顔してるんですか」
呆れた顔をしている梓ちゃんは私に近づくと、隣にすくっと立った。
「あずにゃん…?」
「ほら、繋ぐんでしょう?早くして下さい」
そう言うと梓ちゃんは、顔を逆の方に背け「んっ」と小さい手を私に差し出してきた。
そんな彼女の行動に私の顔はぱあ~っと笑顔になり、いそいそと自分の手を梓ちゃんの手の方へ持って行く。
私はお互いの5本の指がぴったりと合わさるように、そっと手を合わせた。手の大きさ比べをする時のような触れ方だ。
実際合わせてみて、やっぱり彼女の手はちっちゃいと実感する。指の第一関節分ぐらい大きさの違いがあるのだから。
私の手が触れると、梓ちゃんの手はピクッと動き、反り返ったまま固まってしまった。
彼女の手は、「これ以上大きくならないぞ!」ってくらいクワッと広がっている。
私はそんな彼女の固まった指と指の間に手を絡める。優しく、包むように。
すると力が抜けたらしく、梓ちゃんはゆっくりと私の手の甲に指を降ろしてきた。
(あずにゃんの手…やわこい…)
絡まってくる彼女の手の柔らかさに、私の顔はムズムズする。
「…な、何ニヤついてるんですか…」
そんな私の顔を梓ちゃんは横目でチラチラ見ながら睨んできた。
(ありゃ、バレてる。私って顔に出やすいのかな~)
「え?私そんな顔してた~?」
「自覚ないんですか…」
「う~ん。だってあずにゃんと手繋ぐの好きなんだもん」
「!」
急に近くで「ボンッ!」と爆発する様な音がした。
「何事!?」と思い私は辺りを見渡す。
「ほ、ほ、ほら、は、はやく帰りますよ!」
キョロキョロしていると、彼女は繋いでいる手で私の事をグイッと引っ張り歩き出した。
「はやく帰る」という彼女の言葉に「私は長く繋いでいたいのにな~」と思いながら引っ張られていたら、彼女も同じ気持ちだったみたいで、歩くスピードがとても遅い。
「………うん、そうだね~」
私は返事をして彼女の隣に並び、繋いでいる手にギュッと力を入れる。
私達はいつもより長い下校を過ごした。
fin♪
| 【手を繋ごう】
| 21:43
| comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑
TRACKBACK URL
http://jascojasco.blog.2nt.com/tb.php/34-8427ed12
TRACKBACK
≪ PREV | PAGE-SELECT | NEXT ≫