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2010.05.27 Thu
【唯梓連載「梓の○○」シリーズその2 梓の夢想@後編】
あの夢を見てからと言うもの、私の思考と欲望は欲張りになっていた。
唯先輩を見ているだけじゃ、抱きしめられるだけじゃ、頭をなでられるだけじゃ、全然足りない。
もっと欲しい。夢の中の先輩に、また“キス”して欲しい。
今日の部活中、私は演奏中も、ティータイムも、先輩の唇ばかりに目がいってしまっていた。
家に帰ってからも、いつもはギターの練習をするのに、今日は真っ先にベットに寝転がり、目を瞑り先輩とのキスばかり妄想していた。
………
……
…
そんな事をしているうちにもう24時を過ぎている。そろそろ寝なきゃいけない時間だ。
私は枕の下から例の写真を取り出す。
そしてじっと写真の中の唯先輩を見つめて――
「今日も絶対出てきて下さいね」
そう写真の先輩に語りかけながら私はキスを落とした。
夢でまた先輩に会えるように―――
※
ここは何処だろう。知らない部屋だ。
でもここには間違いなく、唯先輩がいる。
“匂い”でそう確信した。
ここは唯先輩の匂いでいっぱいなのだ。
私は部屋の中に居るはずの先輩を必死に探す。
『待ってたよ。あずにゃん』
後ろから聞こえた声に、私はバッと振り向く。
そこには唯先輩が立っていた。
『唯先輩…!』
(やっぱり居た…!唯先輩…会えた…また会えた…!)
私は嬉しくて胸がきゅーっとなる。
先輩はベッドに座ると、手をちょいちょいとして私を呼んだ。
私は躊躇わず先輩に近づく。
手を伸ばせば届くぐらいの距離になった瞬間、いきなり先輩は私の腕を掴み、グイッと乱暴に引き寄せ隣に座らせた。
『いたっ!…もうっ、何ですか急に!痛いですよ!……って先輩?』
『…………』
何も答えずに先輩は私を見て笑っている。
先輩の笑い方は、何か企んでいるような感じだった。
『せ…先輩…?』
私は何となく危険を感じる。
私の片腕は先輩に掴まれたままだ。
『あの………ッきゃあ!!』
先輩の顔を覗き込もうとしたら、いきなり肩を強く押され、ベットに押し倒された。
先輩は私の上に馬乗りになり、私の両手首をがっちりと両手で押さえる。
そんな乱暴な先輩に驚いて、私は思わず先輩の事を見上げる。すると先輩の目は、獣の目をしていて、私の事を捕らえていた。
私の体は動かない。動けない。蛇に睨まれたカエル、もといライオンに睨まれたネコ状態だ。
『ねぇあずにゃん。キスしたいって言って?』
先輩は私から目を離さないままそう言ってきた。
『えっ…?』
『ほら、はやく、言って?』
掴まれている先輩の手の力が強まる。
今の先輩はなんだか怖い、素直に従った方が良いだろう。
私は震える声を振り絞った。
『………せ、先輩と…………“キス”したいです…』
『…ありがと』
何故お礼を言われたか、私は理解できなかった。
それよりも今の先輩の雰囲気が怖くて、体が震えてしまう。
そんな震える私を見て、先輩は少し固まると、手首を掴んでいる手の力を少し緩めた。
そして―――
『ちゅっ』
『んっ…』
先輩は私のほっぺに軽くキスをした。
さらに頬から唇の近くに掛けて、軽いキスの嵐が降ってくる。
『ちゅっ、ちゅ、ちゅっ、…ちゅ、ちゅちゅ…』
『ん‥んっ…ん…くふふ、くすぐったいです』
先輩があまりにもちゅっちゅとキスしてくるものだから、私は少しくすぐったくなってしまう。
目を細めながら先輩を見ると、先輩はいつもの優しい綺麗な瞳に戻っていた。
私は心の中でホッとする。
私の中にあった先輩に対する恐怖感がサッパリとなくなり、ただただ先輩が愛おしいという気持ちだけが残る。
私はキスがくすぐったくて笑っていたら、先輩はいきなり私の唇をちゅっと吸ってきた。
『ちゅぱっ』
『んちゅっ』
先輩の唇に引っ張られて、私の唇は先輩に持っていかれそうになる。
先輩はある程度私の唇を引っ張ると、パッと離した。
すぐ離される唇に私はもどかしく感じる。
私達は見つめ合う。
私はもう笑ってない。先輩も真顔だ。
先輩は顔を近づけ、もう一度ちゅっと唇を吸ってきた。
『ちゅーっ』
『んぅ~っ』
さっきよりも強く吸われる。
唇が取れてしまうかと思うほどだ。
先輩は私の唇を念入りに吸い、また離した。
ちゅぱっと厭らしい音が部屋に響く。
先輩は私に被さっていた体を一旦離すと、私の手首を掴んでいた手を離し、直ぐに私の手に絡めて握りしめてきた。
俗に言う“恋人つなぎ”ってやつだ。
(先輩の手…私よりも大きい…それにすごく熱い)
絡めている両手を離さないまま、先輩は私にゆっくりと体重を掛けてくる。
胸が触れ合ってお互いの心臓の音が聞こえた。
私の早く打つ鼓動に、先輩の鼓動が重なる。まるで1つの生き物になったみたいだ。
そしてそのまま先輩は唇を私の唇に強く押し付け、ピクリとも動かなくなった。
私は一生懸命鼻で息をする。先輩も鼻で息をしている様で、顔に当たる二人分の鼻息が熱い。
何分間そのままの状態が続いたか分からない。
ふいに先輩が唇を押し付けたまま、ハッと口で息を出した。
唇に先輩の息が掛かり、私もつられて口で呼吸をしようとする。
その瞬間、私の口の中に先輩の舌が侵入してきた。
『ちゅるっ、ん…むちゅっ、れろ…』
『んっ、くちゅっ…ちゅぱっ…んあっ…』
先輩は私の舌を夢中で絡める。私はそんな先輩から逃げる。
逃げる。追いかける。逃げる。追いかける。
そんな事をし続けているうちに、いつの間にか私の舌は先輩に捕まっていた。
『じゅっ、じゅる…んむっ、ちゅーっ!』
『んぐっ、んふぅ、んっ!んんーっ!?』
口から舌を引っ張り出されたかと思ったら、思いっきり舌を吸われた。
私は口から溢れる唾液を止めることが出来ない。
先輩はそんな私の口の端から伝う唾液に吸いついた。
『ちゅぱっ、…ふぅ、…ねぇ、あずにゃん…』
『はぁ、はぁ…しぇんぱ…』
うまく呂律が回らない。私の舌は疲れてヘタってしまっていた。
なんだか頭もうまく回らない。意識が遠くなるのを感じる。
そんな私を見て、先輩は目を見開いた。
『あず……あ…ゃ…』
耳の遠くから先輩の声がうっすらと聞こえる。
でも先輩の声は私に届く事はなかった―――
To Be Continued
ぎ、ぎりぎり間に合いました。
ここまで読んでくれて有難うございます!
ちゅっちゅしてるシーンは書いてて楽しいですw
この次もまだあずにゃん視点ですが、どうぞマッタリとお付き合い下さいませ♪
とりあえずお風呂入ってきます…
| 【「梓の○○」その2 梓の夢想】
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