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2010.06.03 Thu
【はつちゅー!@前編】
一ヶ月前。
私、平沢唯は後輩の中野梓ちゃんに決死の思いで愛の告白をし、晴れて私達は恋人同士となった。
しかし、未だに何も進展がない。
付き合い始めの頃は、お互い相手の事を意識して、とても初々しかった。
私は梓ちゃんに、『唯先輩…』と頬を赤らめながら名前を呼ばれるだけで、バックンバックンと胸の動悸が激しく鳴り、喉から心臓が飛び出るかと思ったぐらいだ。
いや、今でもそうなんだけどね。
梓ちゃんも私と目が合うだけで、顔を真っ赤にさせちゃってものすごく可愛かったのに、二週間ぐらい経つと慣れてしまったのか、ケロッとまた付き合う前の梓ちゃんに戻ってしまった。
たまーに帰り際、2人きりの時に少し良い雰囲気になったと思ったら、梓ちゃんは一言挨拶をして早足で帰ってしまうし。
その際に一度強引にキスをしようと試みたら、思いっきり頬にビンタを食らってしまった。
次の日に謝ってはくれたんだけど、私の心はズタズタに傷付いてしまっていて修復不可能だ。
せめてこの腫れてヒリヒリするほっぺにキスをくれれば良いものを…。
私の心の傷を癒すには、“梓ちゃんのキス”しか治療法はないのだ。
そして今日。
梓ちゃんは私の家に遊びに来る事になっている。
まぁギターの練習でなんだけど。
憂は、『早朝から友達と遊びに行くから夕ご飯頃まで帰ってこない』って言ってたから、久しぶりに梓ちゃんと2人きり。
今日やらずにいつやるのだ!ってぐらいの絶好のチャンス!
今日こそ頑張って…良いムードを作って…梓ちゃんと…梓ちゃんの唇にキスを……
「でへへへ…っふぁ!」
梓ちゃんとのロマンチックなキスを妄想していた私は、口から垂れ落ちそうになっていた涎を慌ててちゅるっと吸い上げる。
「うーん…少し早く起きすぎちゃったかなぁ~」
ベッドでゴロゴロしながら時計を見ると、10時15分。
梓ちゃんが家に来るのはお昼過ぎだから、まだ結構時間がある。
憂が作り置きしてくれたお昼ご飯は、さっき起きた時にお腹が空いていたから直ぐ食べちゃったし…。
う~んお腹がいっぱいでなんだか眠ってしまいそう…。
「あずにゃ~ん…ちゅ~うちゅ~ちゅ~…ふにゃ…」
私は抱き枕にちゅーちゅーと唇を押し付けながら、気持ちよく二度寝をしてしまった。
☆
私の可愛い彼女は怒っている。
それはもうツインテールの髪の毛が逆立ちしそうなぐらい。
腕を組んで私の事をジトーっと睨む梓ちゃん。
そんな彼女の前で私は正座をしている。
何故こんなに彼女は怒っているのか?
時間は約30分前に遡る。
*
約束の時間に平沢家にやって来た梓ちゃん。
とりあえず玄関のチャイムを押す。
…出ない。
もう一度押してみる。
…出ない。
彼女は疑問に思いつつ何度もチャイムを押す。…が、出ない。
何故ならその頃、私は夢の中の梓ちゃんと甘いちゅっちゅタイムを満喫している最中だった。
私が寝ていたがために、梓ちゃんは家に入れず、玄関で30分ぐらい立って待つ羽目になってしまったのだ。
☆
「何度も何度も携帯にも電話したのに…」
梓ちゃんはぷんぷんとお怒りのご様子…。
着信音で飛び起きて、寝癖がぴょんぴょんのまま慌てて玄関に出たものだから、言い訳の仕様もない。
「はい…すみませんでした…」
私はへこへこと頭を下げて謝る。
腰に手を当ててガミガミと愚痴る彼女と、怒られて小さくなっている私。
これじゃどっちが先輩か後輩か分からない。
「はぁ…もういいですよ。冷たい飲み物貰えますか?」
梓ちゃんはため息をつき、顔をぱたぱたと手で扇いだ。
彼女の額には少し汗の玉が浮かんでいる。
いくら涼しい5月とはいえ、外にずっと立っていたのだから暑かったのだろう。
「う、うん今直ぐ持ってくる!リビングでくつろいでて!」
私は梓ちゃんのご機嫌を取り戻すために、早急にキンキンに冷えた飲み物を作るのだった。
☆
(疲れだ……)
そろそろ梅雨の季節なのにも関わらず、今日はカラッカラのお天気日和。
お出かけしたら間違いなく気持ちよさそうな中、私達は家の中で2時間ぐらいぶっ続けでギターの練習をしていた。
(あぁ…太陽の日差しが気持ちいいよぅ)
私はギー太を膝の上に乗せ足を伸ばし、窓の近くで日向ぼっこをする。
チラッと梓ちゃんを見ると、楽譜とにらめっこをしていて、まだまだ練習を止める気はなさそう。
このままじゃ練習だけで一日が終わってしまう。
(そんな事はさせない!)
私は考えていた作戦を実行する。
「あずにゃん。気分転換にゲームでもしない?」
「え?うーん…そうですね…。キリも良いですし、少し休憩しましょうか」
梓ちゃんは少し考えそう言うと、楽譜から目を離して綺麗に整頓し始めた。
「やったぁ!Wiiやろう?ウィー!ソフトはこれね!」
私はギー太をスタンドに立てかけた後、彼女の気分が変わらないうちにテレビを付けてWiiの電源を入れる。
Wiiが起動し、テレビ画面にソフトのタイトルが流れた。
「ちょ、もうやるって決まってるんですか…あ、『Wiisports』!これ一度やってみたかったんです!」
梓ちゃんはフェンダー・ムスタングことむったんをギターケースに入れ、テレビの近くに寄ってきた。
(…と言うことはこのゲーム一度もやった事ないのか…)
私は心の中でシメシメと思いながらコントローラーを梓ちゃんに渡す。
「はい、手首にしっかりストラップ付けてね!」
梓ちゃんは手首にストラップを付け、コントローラーを宙にぷらぷらとさせている。
握り方から知らないみたいだ。
「これはこう握るんだよ♪んーと…とりあえず操作に慣れよっか!テニスでいいよね?」
私はコントローラーを握って見せ、慣れた手付きで操作しテニスを選ぶ。
簡単に操作方法を教えてあげて、まず始めにトレーニングモードをする。
「す、すごい…本当に自分で打ってるみたいですね!」
何度かやると、梓ちゃんは大分操作に慣れたみたいで、楽しそうにコントローラーをブンブンと振っている。
「あずにゃん上手上手♪じゃあそろそろ試合しよっかっ」
私は一番長い3ゲームのセットを選び、試合開始を押した。
ゲームロード中.....
(言うなら今かな…)
「あ!ねぇねぇ、負けた方が勝った方の言う事を一つ聞くってルールはどう?手加減するからさぁ~」
私はずっと言いたかった事を彼女に持ちかける。
「何ですかそれ…。…まぁ勝負には賭け事がつきものですものね。手加減なんていりませんよ!やってやるです!」
(掛かった!)
私は心のなかで『俺様がこんな餌n…釣られたクマー!』を想像する。
梓ちゃんは負けず嫌いだから、こう言えば乗ってくるのは分かっていたのだ。
この勝負、絶対負けるわけにはいけない!
悪いけど手加減なしでいかせてもらうよ!
【はつちゅー! @前編2】に続きます
| 【はつちゅー!】
| 23:27
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